あなたは、
- 鍼灸師になるにはどうすれば良いのか知りたい
- 鍼灸師の資格取得に興味がある
- 社会人や主婦でも鍼灸師になれるのか気になる
このようにお考えではありませんか?
自分が好きなことや興味があることを仕事にできると、やりがいを感じられて嬉しいですよね。
結論から言えば、鍼灸師の養成校に3年以上通い、国家試験に合格すると鍼灸師になれます。「受験は何歳まで」といった年齢制限はなく、何歳からでも受験が可能です。
私も社会人になってから専門学校へ3年通い、鍼灸師になりました。
実際、私が通った養成校には50〜70代の方が数名おられ、国家試験に全員合格していました。
この記事を読むことで、あなたに合った最短で鍼灸師になる方法が分かり、今日から行動できます。
そこで、この記事では、
1章で【ケース別】鍼灸師になるまでの流れ
2章で「鍼灸師になるには国家試験合格が必須」
3章で「鍼灸師になるには約500万円かかる」
4章で「学校で学ぶ内容」
5章で「鍼灸師の活躍できる場所」
6章で「鍼灸師の平均給料」
7章で「鍼灸師になるのをオススメしない人」
について、説明します。
この記事を読んで、鍼灸師になるまでの全体像を確認しましょう。
1章:【ケース別】鍼灸師になるまでの流れ
鍼灸師になるには、国家試験合格が必須です。
国家試験を受けるには、鍼灸師の養成校を卒業し、受験資格を得る必要があります。独学や通信教育では国家試験を受けられません。
養成校卒業までには、最短でも3年は必要です。
鍼灸師になるまでの流れを、以下のケース別に解説します。
- 社会人・主婦
- 大学生・短大生
- 高校生
それぞれ説明します。
1-1 社会人・主婦の場合
社会人・主婦の場合、鍼灸師になるまでの流れは以下のとおりです。
鍼灸師の養成校は、
- 満18歳以上
- 高校を卒業している
以上の条件を満たせば、誰でも入学できます。
専門学校は3年間、大学は4年間の在学期間があるため、最短で鍼灸師になりたい人には専門学校がオススメです。
現在仕事をしていて
「働きながら通学したい」
と考えている人は、専門学校の夜間部を選択すると良いでしょう。
夜間部では、教育訓練給付金が支給される学校もあり、学費の負担を軽減できます。
教育訓練給付金については、3章で説明します。
1-2:大学生・短大生の場合
大学生・短大生の場合、鍼灸師になるまでの流れは、以下のとおりです。
大学生や短大生は、卒業後に鍼灸師の養成校へ入学します。
大学を卒業している人は「単位互換制度」を利用できます。
※単位互換制度とは、対象の科目について大学や短大で履修済みの場合、履修を免除される制度です。
医療系の学校を卒業していると、対象科目はさらに増えます。
1-3:高校生の場合
高校生の場合、鍼灸師になるまでの流れは以下のとおりです。
高校生の場合、高等学校卒業後に養成校へ入学します。
大学生のように、単位互換制度は使えないため、すべての授業を受ける必要があります。
【コラム】専門学校と大学の違い
専門学校と大学の違いは、表のとおりです。
それぞれ説明します。
◾️授業内容
専門学校の授業は、すべて鍼灸に特化しており、必要な知識や技術を徹底的に学びます。
大学で学ぶ内容は幅広く、鍼灸以外に興味がある分野は、他学科の講義で聴講できます。
◾️授業形態
専門学校の授業はクラスごとに行われ、高校までの授業と同じような環境です。
大学の授業は、主に講義形式で行われます。
◾️特色
専門学校は、卒業後すぐに対応できるよう、鍼灸に特化した座学や実技実習に力を入れています。
大学では鍼灸に限らず、多様な分野について研究できます。
2章:鍼灸師になるには国家試験合格が必須
2章では、国家試験について詳しく解説します。
- 受験資格と年齢制限
- 試験科目
- 試験の合格率
それぞれ説明します。
2-1:受験資格と年齢制限
◾️受験資格
鍼灸師の国家試験を受験できるのは、養成校を卒業した者、または卒業の見込みがある者とされています。
つまり、専門学校や大学で授業を受け、必要な単位数に達していれば受験が可能です。
国家試験に不合格だった場合でも、受験資格は喪失しません。
◾️年齢制限
年齢制限について「受験は何歳まで」と明記されていないため、何歳になっても受験できます。
2-2:試験科目
国家試験の問題数は180問あり、マークシート式の四択問題です。
試験科目は、以下14科目です。
- 医療概論
- 衛生学・公衆衛生学
- 関係法規
- 解剖学
- 生理学
- 病理学概論
- 臨床医学総論
- 臨床医学各論
- リハビリテーション医学
- 東洋医学概論
- 経絡経穴(けいらくけいけつ)概論
- 東洋医学臨床論
- はり理論
- きゅう理論
鍼灸師の国家試験は、「はり師」「きゅう師」の2つの資格を同時に受験できます。
試験科目の1〜12は共通科目となっており「はり師」「きゅう師」の両方を同時に受験する場合は、片方の共通科目は免除されます。
「はり師」または「きゅう師」のみ受験する場合の試験科目は、はり理論・きゅう理論のいずれかと共通科目です。
はり理論・きゅう理論は、設問が10問ずつしかなく、多くの人は同時に受験します。
2-3:試験の合格率
鍼灸師の国家試験は、年によって難易度に多少の差はありますが、合格率は約70%で推移しています。
合格ラインは60%と言われており、180点満点で108点以上あれば合格です。
合格ラインが60%でも、まだ不安な方がいると思いますが、3年次からは授業で国家試験対策が始まるため安心してください。
3章:鍼灸師になるには約500万円かかる
3章では、学費や負担を軽減できる制度について解説します。
- 入学金、授業料、教材費
- 学費負担を軽減する制度
- 専門実践教育訓練給付金
- 奨学金
それぞれ説明します。
3-1:入学金、授業料、教材費
入学金、授業料、教材費は表のとおりです。
◾️入学金
入学金は、25万〜70万円程度です。
なかには早期割など、入学金を減額してくれる学校もあります。
◾️授業料
授業料は、年間で120万〜150万円程度かかり、前期と後期に分けて納めます。
夜間部がある学校では、昼間部より授業料を減額してくれることがあります。
◾️教材費
教材費は、毎年5万〜10万円程度です。
教科書や実習着、道具などにかかる費用のため、1年次に最も多くなります。
◾️施設管理費
施設管理費の有無は、学校によります。
年間に10万〜20万円程度です。
3-2:学費負担を減らす制度
学費負担を減らす制度について2つ解説します。
- 専門実践教育訓練給付金
- 奨学金
それぞれ説明します。
3-2-1:専門実践教育訓練給付金
◾️専門実践教育訓練給付金とは
専門実践教育訓練給付金は、事前にハローワークへ申請すると最大168万円が支給されます。
全額まとめて支給されるのではなく、在学中は半年ごとに申請が必要です。
年間で最大40万円が支給されるため、支給額は3年間で最大120万円です。
鍼灸師の資格を取得し、被保険者になると最大48万円が追加支給されます。
追加支給は「養成講座修了後1年以内」の条件があります。
学費負担を軽減するために、専門実践教育訓練給付金はとても役立つでしょう。
◾️支給される条件
条件は以下のとおりです。
- 雇用保険に2年以上加入している
- 在職者または離職後1年以内である
- 3年以内に教育訓練給付金を受けていない
- 養成施設を修了する見込みがある
これらの条件に当てはまる場合、ハローワークに申請が可能です。
◾️注意点
専門実践教育訓練給付金は、厚生労働省が指定する養成校でしか使えません。
自分の行きたい養成校が、指定されているか確認すると良いでしょう。
大学は指定を受けていないため、学費負担を軽減したい場合は専門学校がオススメです。
3-2-2:奨学金
◾️奨学金とは
奨学金には、日本学生支援機構などの公的なものと学校独自のものがあります。
奨学金は専門実践教育訓練給付金と違い、卒業後に返還する必要があります。
◾️支給条件
奨学金の種類によって違います。
◾️注意点
日本学生支援機構の場合、過去に奨学金を借りたことがある人は制限がかかったり、申請ができなかったりするため注意が必要です。
4章:学校で学ぶ内容
鍼灸師になるまでに学ぶ内容は、以下5つです。
- 基礎的な医学知識
- 東洋医学
- 経絡経穴
- 実技実習
- 臨床実習
それぞれ説明します。
4-1:基礎的な医学知識
身体の構造や仕組み、病気など鍼灸師になる上で必要な医学知識を身につけます。
たとえば、以下のものがあります。
- 解剖学
- 生理学
- 臨床医学
4-2:東洋医学
東洋医学とは、中国で発祥した伝統医学です。
東洋医学では、気(き)・血(けつ)・水(すい)によって人間の身体がつくられていると考えられ、これらの概念などを学びます。
4-3:経絡経穴(けいらくけいけつ)
経絡は、全身を走行する線路のようなものです。
全部で12種類あり、これらの走行ルートをすべて暗記します。
経穴とは、いわゆるツボのことです。
経穴は全身に361個あり、名前と位置などをすべて暗記します。
4-4:実技実習
実技実習は、治療法や問診、触診など実践的な学びです。
学生同士がお互いに練習台となり、鍼(はり)や灸(きゅう)を行います。
4-5:臨床実習
臨床実習では、実際に鍼灸師が治療する様子を見学します。
実習先は、学校の附属鍼灸院であることが多く、内容は学校によってさまざまです。
5章:鍼灸師が活躍できる場所
5章では、鍼灸師が活躍できる場所を7つ紹介します。
- 鍼灸院
- 接骨院
- 美容鍼灸サロン・エステサロン
- 介護福祉施設
- スポーツ施設
- 訪問鍼灸
- 病院・クリニック
それぞれ説明します。
5-1:鍼灸院
東洋医学や西洋医学の考えをもとに、心身の不調を治療します。
「女性専門」「頭痛専門」など特徴的な鍼灸院も多数あります。
5-2:接骨院
接骨院では、電気療法やマッサージにより治療します。
鍼治療をするところもありますが、鍼灸院と比べて鍼治療を受ける患者さんが少なく、鍼灸治療に力を入れたい方にはオススメしません。
5-3:美容鍼灸サロン・エステサロン
美容分野に特化した鍼灸治療を行います。
美容と聞くと女性をイメージしやすいですが、最近では男性も増加傾向にあり、今後も需要がある分野と言えるでしょう。
5-4:介護福祉施設
機能訓練指導員として利用者の方に機能訓練を実施したり、リハビリプランを作成したりします。
介護福祉施設とは、デイサービスや特別養護老人ホームなどです。
5-5:スポーツ施設
ジムやフィットネスクラブなどで、トレーナーとして活動できます。
仕事内容は、お客さんの状態に合わせたメニューの作成や目標設定、運動指導などです。
5-6:訪問鍼灸
訪問鍼灸とは、1人で外出できない人や寝たきりの人向けに、自宅や施設で行う鍼灸治療です。
治療のほかにも、リハビリなどを行います。
5-7:病院・クリニック
病院の整形外科などで、医師の指示のもと患者さんに施術やリハビリをします。
病院やクリニックの求人数は、とても少ないのが現状です。
6章:鍼灸師の平均給料
6章では、鍼灸師の給料について2点解説します。
- 平均給料
- 就職先やスキルによって差がある
それぞれ説明します。
6-1:平均給料
鍼灸師の平均年収は、正社員の場合で379万円です。
日本人の平均年収は、正社員の場合508万円のため、鍼灸師の給料は平均より低い傾向にあります。
6-2:就職先やスキルによって差がある
鍼灸師の年収の幅は315〜764万円と比較的広く、働く場所やスキル次第では収入アップも期待できるでしょう。
7章:鍼灸師をオススメできない人
鍼灸師をオススメできないタイプは、以下3つです。
- 収入が減ることに耐えられない人
- 学習意欲がない人
- コミュニケーションが苦手な人
それぞれ説明します。
7-1:収入が減ることに耐えられない人
鍼灸師の平均給料は低い傾向にあります。
そのため、給料面において「前職の方が良かった」と感じる人もいるでしょう。
大金を稼ぎたい人や、今の時点で家族を養う必要がある人などは、鍼灸師以外の選択をオススメします。
7-2:学習意欲がない人
「勉強し続けるのが苦痛」「自分から学ぶことが面倒」な人には、鍼灸師になることをオススメしません。学校を卒業し、鍼灸師になってからも勉強の日々は続くからです。
セミナーへ参加したり、治療法や疾患について知識や技術を身につけたりしながら、自分のスキルを磨き続ける必要があります。
7-3:コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが極端に苦手な人にも、鍼灸師はオススメしません。
鍼灸師が治療するためには、患者さんから必要な情報を得ることや患者さんとの信頼関係が不可欠だからです。
「コミュニケーションが苦手」と感じる人は多いと思います。コミュニケーション能力は「話す力」だけではないため、相手の話を聴き、共感できる人は心配しすぎないで大丈夫です。
【コラム】鍼灸師とよく似た職業2つ
鍼灸師とよく似た職業は次の2つです。
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
それぞれ説明します。
◾️柔道整復師
柔道整復師は、整骨院や接骨院などに勤務しています。最近では、介護福祉施設で機能訓練指導員として働く人もいます。
仕事内容は骨折や脱臼、捻挫など急性のケガに対して整復や固定といった応急処置などです。応急処置のほかに、肩こりや腰痛など身体の不調を治療します。
◾️あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、治療院や整骨院などに勤務しています。機能訓練指導員として介護福祉施設で働くことも可能です。
身体をさする、揉む、ツボを押すことによって身体の不調を改善します。
柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師は、いずれも国家資格であり、3年以上養成校へ通い、国家試験に合格する必要があります。
鍼灸師と同様に開業権があるため、独立が可能です。
どちらもよく似た職業のため、それぞれの特性を理解し自分に合った資格を選びましょう。
まとめ:鍼灸師になるには国家試験合格が必須
この記事では、鍼灸師になるまでの流れや費用、就職先などを解説しました。
◾️鍼灸師になるまでの流れ
鍼灸師になるために必要なことは、以下2つです。
- 鍼灸師の養成校へ3年以上通学し、卒業する
- はり師・きゅう師の国家試験に合格する
◾️鍼灸師になるまでに必要な費用
養成校に必要な学費は、約500万円です。
内訳は、表のとおりです。
社会人の場合、専門実践教育訓練給付金の制度によって最大168万円が給付されます。
◾️鍼灸師の主な就職先
鍼灸師が活躍できる場所は以下のとおりです。
- 鍼灸院
- 接骨院
- 美容鍼灸サロン・エステサロン
- 介護福祉施設
- スポーツ施設
- 訪問鍼灸
- 病院・クリニック
◾️鍼灸師の年収
鍼灸師の平均年収は379万円であり、日本人の平均よりも低い傾向にあります。
就職先やスキルによって年収を上げることが可能です。
鍼灸師になるには、何歳からでも挑戦できます。
「鍼灸師になりたい」
という気持ちが強くなった人は、資料請求などを使って養成校の情報収集をしてみましょう。